The Earth Module (TEM)
ファームウェア バージョン 1.2.0
地球の声を聞く
概要
The Earth Module (TEM) は、地球の環境データ(天気、天体、宇宙天気)をリアルタイムで取得し、EurorackのCV/Gate信号に変換するモジュールです。温度、湿度、風速、月相などの自然の変化が音楽の変調要素となり、地球との一体感を音で体験できます。
重要な注意事項
• このモジュールは Wi-Fi ネットワークを利用して動作します。ご使用には 2.4 GHz 帯の Wi-Fi 環境 が必要です(5GHz帯は非対応)
• OpenWeather社の 無料アカウント とAPIキーの取得が必要です
• ネットワーク通信の性質上、信号値の更新には一定の遅延があります。天候が安定している場合や通信条件により、CV 出力がしばらく変化しない場合がありますが、故障ではありません
• Wi-Fi モジュールを内蔵しているため、環境によっては出力にノイズが乗ることがあります(あえて残しています)
• TEM は実験的モジュールです。正常な Eurorack 電源環境でのご使用を前提としています
技術仕様
項目 | 仕様 |
---|---|
フォーマット | 6HP (30.0mm) x 3U (128.5mm) x 26mm Eurorack |
電源 | +12V: 50mA / -12V: 0mA / +5V: 0mA |
接続性 | Wi-Fi (2.4GHz) |
出力 | 2x CV (Weather, 0-5V), 2x Gate (Conditions, 0-5V) |
パッケージ内容
- TEM モジュール(ESP32-C3ベース)
- 電源ケーブル
- QRコードステッカー(セットアップ用)
必要な環境
- WiFi環境: 2.4GHz帯対応必須(5GHz非対応)
- OpenWeather APIキー: 無料で取得可能
- 設定用デバイス: スマートフォン、タブレット、PC
初期セットアップ
1. モジュールの起動
- TEMモジュールをEurorackケースの電源に接続
- インジケータが点灯し、起動シーケンスが開始
- 約2分待機し、インジケータが赤色に変わることを確認
起動時は約2分間で以下のシーケンスが実行されます:
- 黒色 - 電源投入直後
- 青色(呼吸点滅) - WiFi接続処理中
- ピンク(固定点灯) - WiFi接続失敗
- オレンジ(固定点灯) - AP モードまたはAPIキー未設定
- 緑色(固定点灯) - APIキー設定済み、データ取得待機
- シアン(固定点灯) - 通常動作中
2. WiFi設定(初回のみ)
iPhoneの場合:
- 設定アプリを開き、「Wi-Fi」をタップ
- 「TheEarthModule_XXXX」を検索・選択
- XXXXは個体固有の4桁ID(例:2a3b)
- 接続すると自動的にブラウザが開きます
iPhone の WiFi 設定では、利用可能なネットワーク一覧に「TheEarthModule_XXXX」が表示されます。XXXXは個体固有の4桁IDで、本体裏側に記載されています。選択すると自動的にキャプティブポータルが開き、設定ページが表示されます。
本体裏側のラベル上部に「TEM-XXXX」の形式で個体IDが印刷されています。
Androidの場合:
- 設定から「Wi-Fi」を開く
- 「TheEarthModule_XXXX」を検索・選択
- 接続後、自動的にブラウザが開きます
- 自動で開かない場合は、ブラウザで
192.168.4.1
にアクセス
- 自動で開かない場合は、ブラウザで
Android では WiFi 設定から「TheEarthModule_XXXX」を選択します。接続後、自動的にブラウザが開きますが、開かない場合は手動で 192.168.4.1
にアクセスしてください。Android 端末によってはキャプティブポータルの動作が異なる場合があります。
WiFi設定ページ:
- 使用するWiFiネットワークのSSIDとパスワードを入力
- 「接続」ボタンをクリック
- モジュールが自動再起動し、LEDが青色に変化
WiFi設定ページでは、シンプルなフォームに SSID(ネットワーク名)とパスワードを入力します。「接続」ボタンをクリックすると、モジュールが指定されたネットワークへの接続を試行し、成功すると自動的に再起動してAP モードから通常モードに切り替わります。
3. WebUI へのアクセス
WiFi設定完了後、以下のいずれかの方法でアクセス:
推奨: http://tem-XXXX.local
(XXXXは個体ID)
WebUI のメイン画面には、リアルタイムの天気データ、CV/Gate 出力設定、LED ステータス表示、位置情報設定などが統合されたダッシュボードが表示されます。画面右上にはファームウェア更新通知とヘルプリンクが配置されています。
OpenWeather APIキーの設定
APIキーの取得
- OpenWeather API にアクセス
- 「Sign Up」から無料アカウントを作成
- アカウント設定の「API keys」タブからキーをコピー
- 無料プランは1,000回/日のリクエスト制限
- TEMは288回/日で最適化済み
OpenWeather のサインアップページでは、メールアドレス、ユーザー名、パスワードを入力してアカウントを作成します。無料プランでは1日1,000回のAPI呼び出しが可能で、TEM は最適化により1日288回のリクエストで動作するため、十分な余裕があります。
APIキーの設定
- TEM WebUIにアクセス
- 「Configuration」セクションの「API Keys」にキーを入力
- 「Save Keys」をクリック
- インジケータがオレンジから緑色に変わることを確認
API キー設定画面では、OpenWeather から取得した API キーを入力フィールドにペーストし、「Save Keys」ボタンで保存します。保存が成功すると、インジケータがオレンジ色から緑色に変わり、天気データの取得が開始されます。
APIキー設定後のフル動作状態では、リアルタイムの天気データが表示され、CV/Gate出力もアクティブになります。
位置情報の設定
- WebUIの「Location」セクションでマップを表示
- 以下の方法で位置を設定:
- クリック: マップ上の任意の場所をクリック
- 右クリック: 位置を固定してデータ取得開始
- 検索: 都市名を入力して検索
- GPS: 📍ボタンで現在地を取得(HTTPS必要)
- 「⭐ Set as Default」で位置を保存
位置情報設定では、Leaflet マップを使用したインタラクティブな地図が表示されます。マップをクリックで位置選択、右クリックで確定、都市名検索、GPS取得(HTTPS接続時のみ)が利用でき、設定した位置はブラウザに保存されます。
CV/Gate出力の設定
利用可能なパラメータ
気象データ
- Temperature(温度): -10°C〜40°C
- Humidity(湿度): 0〜100%
- Pressure(気圧): 950〜1,050hPa
- Wind Speed(風速): 0〜20m/s
- Cloud Cover(雲量): 0〜100%
- Visibility(視界): 0〜10km
- Dew Point(露点): -20°C〜30°C
- UV Index(UV指数): 0〜11+
天体データ
- Moon Phase(月相): 0〜1(新月〜満月)
- Solar Elevation(太陽高度): -90°〜90°
宇宙天気
- Solar Wind(太陽風): 250〜800km/s
- Kp Index(地磁気指数): 0〜9
Gate Logic
- Rain/Snow: 1mm以上でON、0.2mm未満でOFF
- Wind: 10m/s以上でON、7m/s未満でOFF
- Day/Night: 太陽高度0°以上でON、-5°未満でOFF
- Storm: Kp指数5以上でON、4未満でOFF
出力設定
- WebUIの「CV / GATE Outputs」セクションを開く
- CV1〜CV2, GATE1〜GATE2 それぞれにパラメータを割り当て
- 設定は自動保存され、リアルタイムで反映
CV/Gate 出力設定画面では、4つの出力(CV1、CV2、GATE1、GATE2)それぞれに天気パラメータを割り当てることができます。ドロップダウンメニューから選択すると即座に反映され、現在の値もリアルタイムで表示されます。
インジケータステータス表示
インジケータが以下の色で現在の状態を表示します:
通常動作状態
色 | 状態 | 動作パターン | 詳細 |
---|---|---|---|
![]() 青色 |
正常動作 | 固定点灯 | WiFi接続済み・天気データ取得済み |
![]() 緑色 |
データ待機中 | 固定点灯 | WiFi接続済み・APIキー設定済み |
![]() オレンジ |
APIキー未設定 | 固定点灯 | WiFi接続済み・APIキー未設定 |
処理中状態
色 | 状態 | 動作パターン | 詳細 |
---|---|---|---|
![]() 青色 |
接続処理中 | 呼吸点滅 | WiFi接続処理中 |
![]() 青色 |
データ取得中 | 呼吸点滅 | 天気データ取得中 |
エラー状態
色 | 状態 | 動作パターン | 詳細 |
---|---|---|---|
![]() ピンク |
WiFi接続失敗 | 固定点灯 | WiFi接続エラー |
![]() マゼンタ |
APIエラー | 固定点灯 | API通信エラー |
設定状態
色 | 状態 | 動作パターン | 詳細 |
---|---|---|---|
![]() オレンジ |
初期設定モード | 固定点灯 | APモード・初期設定モード |
インジケータの動作パターン
動作フロー:
- 起動時: オレンジ → 青色呼吸(WiFi接続中)
- WiFi成功: 緑色(APIキー確認中)
- データ取得: 青色呼吸 → 青色(正常動作)
- エラー時: ピンク(WiFi失敗)またはマゼンタ(API失敗)
運用中の動作パターン:
- 通常時: 青色固定点灯で安定動作
- データ更新時: 5分間隔で青色呼吸 → 青色固定点灯に復帰
- エラー発生時: 該当するエラー色(ピンク/マゼンタ)で状態表示
ファームウェア更新
更新通知
- WebUI右上に更新用の赤いドットが表示
- 「Check for Updates」ボタンで手動確認も可能
Update Wizard使用
- 「Check for Updates」をクリック
- 新バージョンが利用可能な場合、確認ダイアログが表示
- 「OK」で Update Wizard が開く
- 画面の指示に従ってファームウェアを更新
Update Wizard は Web Serial API を使用したブラウザベースのファームウェア更新ツールです。ESP32-C3 に直接接続し、最新のファームウェアを自動的にダウンロードして書き込みます。
更新手順:
-
デバイス接続確認
ブラウザでTEMデバイスを選択します。
-
インストール確認
"INSTALL TEM"ボタンをクリックし、確認ダイアログで続行します。
-
インストール実行
確認ダイアログで"INSTALL"を選択し、ファームウェアの書き込みが開始されます。
-
進行状況確認
更新中は進行状況バーと詳細ログが表示されます。
-
完了確認
インストールが成功すると完了メッセージが表示されます。
重要な注意事項
- 更新中はモジュールの電源を切らないでください
- 更新後、設定は保持されますが確認を推奨
- 問題が発生した場合は手動でAPIキーと位置情報を再設定
トラブルシューティング
WiFiに接続できない
- WebUI: WiFi設定ページでSSID・パスワード確認
- 原因: 2.4GHz帯以外のネットワーク使用
- 解決: 2.4GHz対応ネットワークを使用
天気データが更新されない
- APIキー: 正しく入力されているか確認
- インターネット: 接続が正常か確認
- 更新間隔: 5分間隔のため少し待機
- LED確認: 白色に変わらない場合はAPIキー再設定
WebUIにアクセスできない
- mDNS:
http://tem-XXXX.local
でアクセス(XXXXは個体ID、本体裏側に記載) - ブラウザ: キャッシュクリア後に再アクセス
設定がリセットされる
- ファームウェア更新: 通常は設定保持
- フルアップロード: 「All Flash Contents」で設定消去
- バックアップ: APIキーと位置情報のメモを推奨
UI要素が操作できない(グレーアウト)
- APIキー未設定: オレンジの「API key required」表示
- デバイス未接続: 赤の「Device disconnected」表示
- 解決方法: APIキー設定またはWiFi接続確認
フィードバックとサポート
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